第1回定例会(2月16日~3月26日)

  2010年の第1回定例会が2月16日から3月26日にかけて開かれ、総額1兆1473億円、一般会計5916億円の2010年度予算を決めました。

  今回の予算特別委員会では、旧広島市民球場の解体と跡地利用、2020年ひろしまオリンピック招致活動、若草地区再開発に対して40億円の無利子貸付、過疎が進む地域の小学校統廃合、などについて議員から厳しい指摘も出されました。

2010年度の予算を決めた第1回定例会

2010年度の予算を決めた第1回定例会(本会議)

  旧広島市民球場の跡地活用については4年かけて議論が行われ、150万人以上の集客をめざすイベント広場として整備する方針が示されており、そのための旧球場の解体費用などが提案されていました。これに対して一部の会派からは、「全体の合意ができていない」などの意見が出されましたが、修正案は提案されず、解体費用は予算化されました。

 また、2020ひろしまオリンピック招致活動については、「財政的な余裕がなく、実現が困難」として、招致の可能性を検討する費用を削除する修正案が提案され、僅差で可決されました。

 広島駅新幹線口の若草地区再開発事業への40億円の無利子貸付についても、事業が失敗した場合のリスクが大きいことなどが指摘されました。修正案は提案されず、今後、議会に対して状況を詳細に報告するよう求める決議案を採択しました。

完成真近の広島駅新幹線口の若草地区再開発事業

完成真近の広島駅新幹線口の若草地区再開発事業

 小学校の統廃合については、1月の文教委員会で中区の基町小学校、安佐北区の小河内小学校、久地小学校、井原小学校、志屋小学校の5つの小学校を統廃合する教育委員会の考え方が示されていたものです。これに対して、小学校は地域の中核施設であり、統廃合は地域の活力を失わせることにつながるとの強い懸念が示されました。

  一方、若林新三議員は予算特別委員会で文教関係、厚生関係、建設関係の3つの分野で質問に立ちました(前述)。

 文教関係では、教員のサポート体制、学校事務、学校業務、留守家庭子ども会などについて質問し、子どもたちの教育環境の充実を求めました。
 厚生関係では黒い雨の降雨地域(第1種健康診断特例区域)の拡大、安佐市民病院の充実などについて質問し、取り組みの強化を求めました。
 建設関係では、過疎対策を総合的に行う「里ライフ創造施策クロスセクション」の役割、市内電車の速達性の向上や広島駅前大橋線など新規路線の開設、可部バイパスの事業促進などについて質問しました。特に過疎対策については、小学校がその地域のまちづくりの中核的施設でもあることから、地元の合意がなければ強引な小学校の統廃合は行わないよう求めました。

  定例会最終日の3月26日には本会議で採決が行われ、広島市2010年度予算を決定しました。予算案については、一部会派から、①市長が開設をめざしている「折り鶴ミュージアム」の検討費用の削除、②2020ひろしまオリンピック招致の可能性を検討するための経費の削除、③2020年に核兵器の廃絶をめざす活動の一環として秋葉市長がロシアを訪問する経費の削除、の3点について修正案が提案されました。採決の結果、僅差ではありましたが修正案が賛成多数で可決されました。 

定例会最終日の採決で、予算の修正案に対して反対の立場で討論する若林新三議員

定例会最終日の採決で、予算の修正案に対して反対の立場で討論する若林新三議員

 一方、旧市民球場条例を廃止する議案については、賛成少数で否決されました。解体費用については予算が決定されたものの、条例が残ったために所長や職員など置かなければならず、職員の人件費は予算措置されていないため矛盾がおきる結果となりました。さらに、旧球場を残すことになれば、職員の人件費以外に年間6000万円の維持費が必要となります。 

 若林新三議員の所属する市民連合は、オリンピックにしても折り鶴ミュージアムにしても市内部での検討段階であるため、正式に市当局が事業案として示した段階で議会として判断すべきものであり、検討すら否定することはできないとの立場で原案に賛成し、修正案に反対しました。
 また、旧市民球場についても、早急に賑わいの場所として整備する必要があることから条例の廃止に賛成しました。